こんにちは ご訪問ありがとうございます。
機械設備を取り扱っている工場等では湿気が起因する様々な故障が発生します。
特に多いのが切削水等を使って工作物を加工する設備の故障です。
今回は機械故障の中でも湿気が起因する異常が発生した場合に診断ミスをしないためモーター単体の良否判定を必ずやっておくべき理由についてお伝えして行きます
目次
サーボ機構の概要
機械設備にはセンターリングマシンから旋盤、研削盤等多種多用な機種が有りますが、スライドを高速で動作させたり1/100mm単位の精密加工を行うためのNCコントローラーやドライバー等のサーボ機構が使われています。
カバーで密閉された設備
これらの機械設備の中でも切削水等を使用して加工する設備は床面等に切削水が漏れないようにカバーで密閉されています。
そのためにスライドを動作させるサーボモーター周りにも加工中に発生する噴霧状の水分が付着して長期に使用している間にモーター本体や動力線に水分が侵入し絶縁破壊を起こし易くなって来ます。
このような状況に加えて、夏場には設備内や制御盤内の温度が上昇し湿度も高くなってきます。
温度や湿度が起因する異常の中でも、過電流系の異常は設備の電源を入れただけで発生する場合やスライドを動作させようと操作ボタンを押した時に発生する場合が有ります。
このような異常が発生した時は、モーター単体の良否判定行っておくことが重要です。
何故始めにモーター単体の診断か?
過電流系の異常が発生する原因として考えられるのは大きく分けて3つあります。
①モーター自体の絶縁破壊が起因している場合
②ドライバー単体が故障している場合
③更にはモーターが壊れることでドライバーも同時に壊れている場合
又、設備の使用状況によって複合的な故障(電気・機械)が発生している可能性もあります。
ここで重要なのが、湿気等の一番影響を受けやすいのが設備の一番下に取り付けられているサーボモーターであることです!(先に図解説明したサーボ機構の場合)
故障原因がモーターであった場合
仮にドライバー部分に過電流系の異常が発生していたからと言って、モーターの良否判定をせづにドライバーのみ交換をしてしまうと電源を入れた途端にドライバーが破壊することもあります。
何故そんな事が発生するかと言うと、仮にモーターが絶縁破壊されていた場合、動力線や信号線はドライバーとケーブルで接続されているため、電源投入と同時にドライバーに実装されている基板類が破壊されてしまうことがあるためです。
つまりモーター単体の良否判定(動力線を含むモーター単体の判定)を始めにやっておかないとドライバーを再び交換しなければならない最悪の事態に発展してしまう恐れがあります。
モーター単体の診断方法概要
そんな事にならないためにも、過電流系の異常が発生した場合に必ずやっておくべき簡単なモーターの診断方法について説明致します。
※サーボモーターと言ってもメーカーや仕様によって良否判定値に違いがありますが、一般的な判定方法についてお伝え致します。
①ドライバー部分及びモーター端子台の動力線ケーブルを外す、※ドライバーとモーター・動力線を其々分離する
②メガΩテスターでモーターの絶縁測定を行う(推奨値は500Vメガで100MΩ以上・1MΩ以下の場合は要注意)
③テスターでモーターの巻き線抵抗(相間抵抗)を測定、3相共に数Ω程度で各相の数値バランスの崩れがないかを点検。相間で大きな数値変化がある場合はモーターコイルの不良
④動力線単体の絶縁測定を行う(各相の動力線が設備本体と接地していないかを調べる)
以上のことを異常発生時に必ずやっておくことで、後戻りしない作業が出来ると思います。
設備が壊れると交換作業で一番手間の掛かるモーター及び動力線を始めに診断しておけば、仮にドライバーが破損している場合でも同じ物を2回交換するという最悪のパターンは避けることが出来ます。
不具合チェック箇所
このような診断ミスを防止するためには、チェックする箇所を決めておくと効果的です。忘れ防止用に常備しておくと便利です。
簡易チェック表
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まとめ
設備診断ミスをすると高額なドライバーを複数回交換すると言うコスト面で大きな損害が発生するだけでなく、故障復帰までの時間も大幅に長くなってしまいます。
設備に異常が発生した場合には(特に過電流系異常)必ずモーター診断を始めにやっておけば後戻りすることのない確かな診断が出来ると思います。
①モーターと、ドライバー、動力線を分離する
②モーター単体の絶縁測定・相間抵抗とバランス確認
③動力線の絶縁測定
以上、簡単ですが機械設備での異常診断でミスをしないために必ずやっておくべきモーター単体での良否判定に関する内容でした。